「自立訓練×就労移行支援」を組み合わせたプログラムについて

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2年間の訓練期間が最大4年間まで延長されます。

フォレストは、2007年7月、定員10名の就労移行支援としてスタートしました。試行錯誤を繰り返しながらも、フォレストならではの「一人ひとりの働きたい意欲に寄り添う」という、就職に向けたオーダーメイドスタイルのプログラムとトレーニングを続け、2016年4月までに116名の就職者を送り出してきました。フォレストが最も大切にしている、利用者ご本人が「自己肯定感を高める」という柱を軸に、職員たちと一丸となり、知的障害の方々にとって「日本一の就労支援」を目指してきました。
しかし、2年間という就労移行支援期間内では就職にたどり着けない方も多く、訓練期間をどう延長するかの課題がありました。

そして、2016年4月からは、自立訓練(生活介護)事業と就労移行支援事業をフォレスト内で組み合わせることによって、就職までの訓練期間をこれまでの2年から、最大で4年まで延長できるようになりました。就職に向けて一人ひとりに合わせ、より充実したプログラム、個別支援、実習など、時間をかけて行うことができるようになったのです。

「社会人基礎力」をベースに就職に向けたキャリア形成を実践

この転換期に合わせ、自立訓練と就労支援の役割分担をするため、フォレストが「自立訓練×就労支援」の中で目指していく「就職に向けたキャリア形成」についての指針を明確にしました。
指針をつくるにあたっては、経済産業省が若者に向けて提唱してる「職場や社会において多様な人々と共に仕事をしていくために必要な基礎力」としての「社会人基礎力」の定義を参考にしました。
「社会人基礎力」とは、学問で得られる専門知識やスキル以外に仕事で必要となる基本的な力のことですが、知的障害のある方が就業するにあたって必要な要素が網羅されており、社会で仕事をしていくうえでは、障害のあるなしに関わらないことがよくわかります。

経済産業省「社会人基礎力とは」

この「社会人基礎力」は、大きく分けると「前に踏み出す力(アクション)」「考え抜く力(シンキング)」「チームで働く力(チームワーク)」の3つの能力に分類されています。この3つはさらに図のような12の要素に分かれています。この12の要素の中から、フォレストでは知的障害のある方がつまずきやすいポイントを押さえ、これらの要素を元に課題設定を行いました。

前に踏み出す力(アクション)
一歩前に踏み出し、失敗しても
粘り強く取り組む力
主体性
物事に進んで取り組む力
働きかけ力
他人に働きかけ巻き込む力
実行力
目的を設定し確実に行動する力
考え抜く力(シンキング)
疑問を持ち、考え抜く力
課題発見力
現状を分析し目的や課題を明らかにする力
計画力
課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力
創造力
新しい価値を生み出す力
チームで働く力(チームワーク)
多様な人々とともに、
目標に向けて協力する力
発信力
自分の意見をわかりやすく伝える力
傾聴力
相手の意見を丁寧に聴く力
柔軟性
意見の違いや立場の違いを理解する力
情況把握力
自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力
規律性
社会のルールや人との約束を守る力
ストレスコントロール力
ストレスの発生源に対応する力

共通課題は「主体性」と「実行力」の獲得

まず、自立訓練と就労移行の共通課題として「主体性」と「実行力」の定着を目指します。自立訓練では「発信力(基礎)」と「規律性(自己統制力)」の獲得を目指し、その後の就労移行支援では「発信力(応用)」「規律性」「ストレスコントロール」を身につけ、就職後の人間関係を円滑に保ちながら安定的に長期就労していくことを目指していきます。
就労支援プログラム全体を通して、働くために必要な要素をキャリア形成していくことで、ご本人が自信を持って一歩を踏み出せる力をつけます。

やればできるという自尊感情から「主体性」を引き出します

「自らの行動は自分で考えて行う」。これが主体性です。自立訓練と就労移行の活動の中で一貫して求めていくのは、まさにこの「自分で考えて行動すること」。人から言われてやるのではなく、自らの意志で行動を起こし、目標を達成していくことを目指していきます。
目標に対して自らの行動を積極的に、かつ粘り強くコントロールできるようになる。
フォレストの日中プログラムの中には、小さくて簡単にクリアできる目標がたくさん設定してあります。たとえ小さくても目標を達成すると「やればできる」という自尊感情につながる点が非常に重要です。この感情を出発点として「主体性」を持って積極的に目標を達成しながら、自らの行動、感情、思考を粘り強くコントロールできる力の獲得を目指します。

小さな目標への達成感の積み重ねから「実行力」を引き出します

自らの行動力を達成するために重要なのが「実行力」です。「実行力」を身につけるために、大きな目標を小さな目標に分解して、スモールステップをつくり、それをひとつずつ達成できることに喜びを見いだせるよう、活動の中で場づくりを行っていきます。粘り強く行動して目標を達成できた喜びを感じることで、いかなる場面でも忍耐強く自らの行動をコントロールできるようになることが目標です。

自立訓練の「発信力」と「規律性」の訓練

場面に応じた適切な行動を獲得することを目標に「発信力(基礎)」と「規律性(自己統制力)」を身につける訓練を行います。いずれも企業で就労する場合に必要とされる行動の基礎となる部分です。障害程度、障害特性に合わせた配慮をこないつつ、自らの行動を適切に行う意識を持てるようになることがポイントです。
第一段階は「指示を受けて修正をする」ことからはじめ、徐々に「自分で修正する」ことができるよう促し、最終段階では「自発的に正しい行動を継続できる」状態を目指します。

  獲得目標 行動
発信力
(基礎)
自己の要求を言語化、行動化し、適切な方法で相手に伝える力
  • わからないときに「わかりません」と伝える
  • 嫌なことや困ったことがある時「いやです」「困っています」と相手に伝える、あるいは対処の方法を家族や支援者に相談する
規律性
(自己統制力)
自己の感情、衝動が欲求を自分で制御し、自分の行動を正しい方向に向かわせる力
  • 自己統制できない行動に対して指示を受け、適切な状態を維持する
  • 正しい行動を理解し、自発的に行動を調整する

就労移行支援の「発信力」と「規律性」と「ストレスコントロール」の訓練(職場実践※)

就労移行支援では、就職後に安定した人間関係を築くことを目標に「発信力(応用)」「規律性」「ストレスコントロール」を身につける訓練を企業での職場実習を中心に行います。自立訓練で獲得した基礎的行動を発展させ、就労を安定して継続できるよう、社会人としての基礎力向上が目的です。障害程度、障害特性に配慮したうえで、一人ひとりが自発的に自己の力を発揮できるように訓練を行います。
※就労移行支援から利用を開始した方は、ここからのスタートになります。

  獲得目標 行動
発信力
(応用)
自分の意見をわかりやすく整理したうえで、相手に理解してもらえるよう的確に伝える力
  • 自己統制できない行動に対して指示を受け、適切な状態を維持する
  • 自分が伝えたい内容に合わせて、伝えるべき対象者を適切に選ぶ
  • ホウレンソウ」が必要な場面で適切に情報処理を行い、支援者、上司に対して自ら言葉にして伝える
  • 自分の伝えたい内容に合わせて、相手を尊重してアサーティブに伝えることができる
規律性 社会のルールや人との約束を守る力
  • 自己統制できない行動に対して指示を受け、適切な状態を維持する
  • 家庭、施設、会社など、ぞれぞれのルールに則り、自らの発言や行動を的確に律する
ストレス
コントロール
人間関係、仕事の負担感からくるストレスに対して具体的な退所をする力
  • 自己統制できない行動に対して指示を受け、適切な状態を維持する
  • どのような場面でストレスを感じることが多いのか自分を知る
  • ストレスを感じる場面で取るべき行動を具体的に知る